『空やさい』の佐久穂町における拠点の立ち退きが求められていた問題で、本日11月2日、ついに新たな拠点が見つかり合意に至ったことが明らかとなった。「新拠点」は現在の住宅と同じ集落内にあり、歩いても3分とかからない激近で、耕作している田畑への影響もなく最良の物件が見つかったという。
同社の安藤代表は「多くの皆さんにご心配いただいていた問題をようやく解決することが出来た。これを機に心機一転、がんばっていきたい」と話した。
さっそく近所の挨拶終わりを終えて、夕方からの会見で同社が明らかにしたところによると、<新拠点>は平屋の中古一戸建て。敷地面積が広く、屋根付きの作業・収納スペースがあるという。田舎の物件には珍しく下水道が完備された水洗トイレが魅力だが、「場当たり的な増改築がされていて、母屋部分は築100年近いのではないか」(同関係者)といい、かなり古い家であるようだ。
会見で安藤代表は「紆余曲折を経て、ここまで来るまで本当に長かった。交渉も水面下で行わざるを得ずに心苦しい日々が続いていたが、ようやく皆さんにお伝えできる日が来て本当にうれしい」と喜びを語った。
『空やさい』では、異例となる定期便の前倒し休止を今月から実施しており、今後は拠点の移転作業に着手する見通し。もっとも「(新拠点は)壁や床に穴があいて外が見えていたり、キッチンが全撤去されているなど、引っ越し前にやらなくてはいけない作業がたくさんある」(同)との声も上がっている。
これに対し、安藤代表は「今季は定期便の休止を早めるなど、皆さんに多大なご迷惑をおかけしている。新拠点を一刻も早く修復整備し移転を完了して、来季に万端の備えていくことで御恩をお返ししたい」と話す。

また、新拠点では畑を訪れてくれる方たちに泊まってもらえるような機能も兼ね備える予定という。『空やさい』には今季だけで延べ約80人ほどが訪れているといい、「来ていただいた皆さんに快適に過ごしていただけるような、素敵な拠点にしていきたい」(安藤代表)と計画している。
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独立就農4年目を迎えていた『空やさい』は今年になって、現在の拠点となる住居の立ち退きを求められていた。地方における空き物件は流動性に乏しいことに加え、やさい作りの基礎となる田畑とは離れられない、新参者を受け入れてくれた集落の方たちにもお世話になっているなど、新拠点探しが難航していた。
今回、今季を通して懸念が広がっていた新拠点問題の解決を受け、『空やさい』は新たな節目を迎えたと言える。今オフにおける移転、そして環境の充実を経て、来季の飛躍に期待の声が高まっている。