始まりの始まり

畑にとっての「年度初め」「年明け」は毎年3月1日にしているので、2月の今はまだ【今季】で、3月から【来季】になります。


とはいえ、着々と来季への準備は始まりつつあります。

そんなスタートへ向けた、最初のスタートが今日から始まりました。


畑の土の状態を調べる、土壌分析を本日行ってきました。

土の状態は、畑ごと、作ってきた作物ごと、その季節の気候ごと、それまでの使われ方など様々な要因によって、違います。


それは、土の物理性、化学性、生物性というカテゴリーで分けて考えられます。


物理性は、その土の水はけ良さや、肥料などを保持できる力の強弱など。

化学性は、その土に含まれる窒素・リン酸・カリといった植物の3栄養素のほかに、カルシウム、マグネシウムといったミネラルの含有量など。
そして、生物性は、その土に含まれる、良質な細菌や病原菌の多少、さらにはミミズなど益虫や害虫といったことなどから、良悪を見ていきます。


今回行った土壌分析は、このうち、「化学性」をみていきます。


この地域の新規就農の先輩や仲間たちでグループをつくって、これらの検査キットをもっているので、みんなで土を持ち寄り、合同で検査していくのです。


これがもう、まんま化学の実験。土から抽出液を試験管に取り出し、各化学要素ごとに試薬を入れ反応をさせ、その色づいた液体を光学センサーで読み取っていく、という作業。

検査項目は上記の窒素・リン酸・カリ・カルシウム・マグネシウムに加えて、鉄、マンガンなども見ていきます。


毎年やってて今年で4年目。となると、各畑なりのそれぞれの「性格」がなんとなく見えてきます。その年につくった作物との兼ね合いも考慮して、こんな数値が出るかな、と。


そのようにして出た検査結果を見て終わりではありません。

むしろ、ここからが本番。この畑ごとのデータを「参考」に、各畑ごと、各作物ごとに施肥設計を組んでいくのです。肥料も多すぎるとかえって弊害が出るので、足りないものを足していく感じでバランスよく配合していきます。


いま、「参考」と書きましたが、ここがポイントです。

土壌診断の結果が「すべて」ではないんですね。サンプルとして採取した土なんて、ほんと小指の先ほどの量なので、とても広大な畑の全体を表しているとは言い難いし、

検査も微妙な人為的差異が生じる可能性もあるし、あくまで「参考」と考えなくてはいけません。


もっとも、膨大な要素、要因が絡み合っている、まさに複雑系な畑環境において、唯一明確な「数値」が出ているので、ついつい全面的に頼りたくなってしまいますが、そこはグッと我慢です。


・・・という土壌診断が終わり、いよいよ来季の活動へのカウントダウンが始まってまいりました。