菌を味方に

「空やさい」で育てている野菜たちは、ぜんぶ無農薬です。

 

もちろん、「安心・安全」であってほしいからだし、農薬って結構高価でその勉強もしなきゃいけないのが大変だからだったり(^^;、食べる時にそれほど洗わなくてラクだから(?)、だったりもします。

 

ただ、一番は「美味しいやさい」になってほしいからこそ、無農薬なんですね。(そのあたりの、なぜ美味しいやさいを作るのに無農薬・無化学肥料の有機栽培がいいのか、についてはまた後日書きます)

 

無農薬なので、病気が出たり、害虫が発生したり、雑草がボーボーになってしまっても、農薬を使いません。使えません。

 

そこで、どうするか?

今回はその病気対策のひとつをご紹介します。

うどんこ病、べと病、葉かび病、軟腐病などなどなど。

野菜を育てる上での病気はたくさんあります。下手に蔓延したら、全滅なんてこともあります。これらの病気の大半の原因が病原菌、つまり悪い菌が原因なんですね。

 

そこで、そういった悪い菌を駆逐、あるいは働きづらくすればいいんじゃない?ということで、昨日までのべ3日間を費やして、新規就農仲間で「ぼかし」をつくりました。あ、「ぼかし」って有機栽培では良く使うんですけど、基本的には米ヌカを良い菌で発酵させたモノです。

 

今回のぼかしは米ヌカだけではなく、かなりゴージャス(?)な材料をご用意。海藻を粉にしたもの、カニガラ、糖蜜、信州と言えばリンゴということでリンゴの搾りカス、ミネラル豊富な温泉水などなど。

 

ここに、EM菌と言われる、良い菌の集まりを拡大培養しておいたものを投入するわけです。EM菌というのは1つの菌じゃなくて、正式名称は「有用微生物群」という、乳酸菌や酵母、光合成細菌などのグループ。

上記の様々な材料はEM菌たちのエサ。カニガラにはそれが好きな菌が増え、リンゴが好きな菌も増え、糖蜜の糖分も菌たちのエサになり(菌も「生き物」だから糖分がエネルギーになる)、海藻粉末はミネラルの補給になるし、といった感じで、ただのぼかしではなく、良い菌の多様性あるぼかしが出来るわけです。

 

写真には、手前にビニールに入って積んであるのがリンゴの搾りカス、右奥の赤いタンクに入っているのが、糖蜜で拡大培養されたEM菌です。

 

これらの材料を、1枚目の写真のような普段はコンクリートを混ぜ合わすミキサーでよく混ぜ合わせます。ここで大切なのは水分。菌たちが生きやすいように、過ごしやすいように、繁殖しやすいように、多過ぎず少な過ぎず。グッと握ってみて固まるけど、指で突けば崩れるぐらい...そんな水分量にします。

このサジ加減が結構難しい。湿気を含んでたり、逆にサラサラだったりといった米ヌカの状態や、リンゴも汁気のあるもの、しっかり絞られたものなど、そのあたりの微調整をしながら混ぜ合わせます。

 

そして、出来上がったものは、右の写真のように青いボトルに次から次へと詰めます。EM菌の中でも主力となる乳酸菌は、空気がキライなためフタをしっかり締めて、嫌気状態にするワケです。

 

結局、のべ3日間で6軒の農家分で約170樽。1樽約30キロなので、約5トン分!を作りました。疲れた――。

菌たちの活動には、そこそこの温度も必要なんで、夏の気温などを使ってじっくり発酵、っていうか熟成?させます。ひと夏を経て秋ごろに完成となるわけで、実際の運用は来春からですかね。

ちなみに今春は昨年作ったのがあるんでそれを使います。

 

これらを畑に撒き、まずは浅く耕して畑の上面で良い菌の数を増やしておいて、その後に畑をよく耕して、その畑全体を良い菌だらけにしちゃおう!って作戦です。

 

今季も、菌を味方に美味しいやさいになってくれますよーに!