
薦められて、『限界集落株式会社』という本を読む。
一昨年秋に出た本のようで何となく聞いたことはあったけど、未読だったので、半日かけて一気に読み終えました。
内容は『集落の消滅を憂う老人たち、零細農家の父親と娘、田舎に逃げてきた若者、かつての負け組たちが立ち上がる!地域活性エンタテインメント』(Amazonより)とのことで、
日本各地の農村で起こっている高齢化、過疎化と、その原因であり結果でもある農業離れを、行政や農協に頼らず、民間の力で立て直していく過程が描かれたフィクション作品。
・・・舞台となる“限界集落”というのが、東京から高速道路2時間、降りて1時間、標高900~1000mにある中山間地...ってことで、今まさに自分がいる土地、集落とまったく同じ。
さらに、都会から集落に入ってきた新参者が、新規で農業をはじめたっていう立場も似通っていて、共感するところもたくさんあった。
ま、内容自体は、現実的にはこうはうまく運ばないだろうなぁ、と誰もが思うほどのちょっと出来過ぎなサクセスストーリーなんだけど、でも農業の活性化を促すことで集落、地域を再興するとい過程を具体的に描いているところは、一つの可能性としてちょっと啓示をうけた気もする。
確かに、いま自分の住む集落も周りを見渡せば、ほとんどが高齢者の方ばかり。実際には若い世代も残ってはいるらしく、ウチの集落は消防団とかの世代交代も比較的滞りなくできてるほどらしい。
でも、見たことない。会ったことない。ホントにいるの?って思うぐらい、みーんな働きに出ているらしい。専業農家もほとんどいないし、その専業農家の後継ぎも、もちろんいない。
集落周辺の耕作放棄地はどんどん増えるばかり。今から農業やろうなんていうのは、自分のような新参者しかいない。集落の集まりや畑に出るたびに、「うちの畑を、田んぼをやってくれないか」と声をかけられる。
こんなだから、どこの田舎の集落もそうだろうけど、今はまだしも、その先は真っ暗。みんなこのままじゃいけないって分かっているけど、どうしよう?どうしようもないよねーと、問題を先延ばしにしている現状。
この状況を変えていくのはとても困難だろうけど、もしかしたら、エイヤー!と一念発起してドカーンとひっくり返す程に変えちゃうことが出来るのは、自分たちのような集落の外からきた人間なのかな?と、本書を読んで感じた。
外から来たからこそ、出来ちゃうこと。
外から来たからこそ、反発されること。
ここの折り合いをどうつけるかが一番の壁となりそうだけど、「このままじゃいけない」って、集落の誰もが危機感をもっているのは確かなワケで、そこを拠り所に変革の力を結集できたら、面白いことが出来るんじゃない?と思った。
2013年。この地で就農して2年目。
まだまだ新参者だし実績もないので、今はまだ大言壮語は吐けないけれど、
今後進むべき将来への方向性として、自分の農業だけでなく、さらにその先の集落・地域を再興していくという大きな、しかし具体的な、そんな目標を掲げていこう、と、「将来の計は元旦にあり」とばかりに心に刻みました。