即身仏に囲まれて

アーネスト・ヘミングウェイの『キリマンジャロの雪』の冒頭に、雪に覆われたキリマンジャロ頂上近くに、一頭の凍りついた豹が死んでいることが書かれている。「そんな高いところまで、その豹が何を求めてきたのか、いままで誰も説明したものがいない」と続く。

 

翻って、ところは信州・マイハウスである。

写真はハウスサイドの肩の部分。黒い点々が写っているのが見えると思う。あえてアップで撮らなかったのだが、これらはみんなカエルのミイラ化した死骸である。(大丈夫の方は、写真をクリックしてもらえば良く見えます)

 

開け放たれて見える部分には、写真では見えにくいが防虫ネットが張ってある。そのため、肩のビニール部分とのスキマに入り込んでしまい出れなくなったカエルたちが、やがて命が尽き果て、太陽熱で干からびて、ミイラ化しているのだ。

なぜ、そこに入る!ここを登るのだ!
小さなアマガエルがネットを登るのを見つけるたびに、はじき落としてきたが、次から次へとネットを登り、そして登り詰めて絶命していく。 

 

きっと生物学的には、まだ小さなカエルはヘビとか敵に食べられないように、草であったり木であったり、とにかく「上」に登るような本能が備わっている、みたいな説明が出来るのだろう。

 

だが、これらのカエルたちはもはや「即身仏」じゃないか!

 

冒頭に書いたキリマンジャロの豹は、単に迷い込んで戻れなくなってしまったのか、より高みを目指していたのか、死骸は何も語らない。

 

しかしこのカエルたちは、常に上へ上へと向かい、その到達点で生きながらにしてミイラ化していく。。。つまり、ここのカエルたちは皆、悟りを求め、そして大悟し、仏となっているのだ!、といっても過言ではないであろう。

 

、、、ということは、待てよ。。。

こんなに多くの仏さまに囲まれたウチのハウスは、そりゃぁご加護があるに違いない、トマトも良くできるに違いない、風にも雪にも潰されないに違いない、中で働く人もお利口にしてくれるに違いない・・・

 

 

・・・などと、灼熱となったハウス内で徒然なるままに妄想幻想を抱きながら作業をしている、今日この頃。。。